石炭・石油など化石資源の代替資源として期待される「木質バイオマス」。
京都大学エネルギー理工学研究所の片平正人教授を中心とした研究グループは、木質バイオマス中の各成分の物質量を正確に決定する手法の開発に成功。
この世界初の研究結果は、英国科学誌「Scientific Reports」誌(電子版)に掲載されたというニュースです。
木質バイオマス中の各成分の物質量を正確に決定する手法の開発に成功 -木質バイオマスからの効率的なバイオエネルギー・製品原料の獲得にはずみ- https://t.co/VCULptSwL1
— 京都大学 (@univkyoto) 2016年2月18日
概要
木質バイオマスは化石資源の代替資源として期待されており、バイオエネルギーや各種製品の原料をここから獲得する工程が精力的に研究されています。木質バイオマスは多成分からなり、各成分の分子量や化学構造は多岐にわたります。上記の工程を確立するためには、各成分の物質量を把握することが欠かせません。しかしこれまでは、木質バイオマス中の各成分の物質量を正確に決定することはできず、木質バイオマスを利活用する工程を確立する上での障害となっていました。
本研究グループはNMR(核磁気共鳴)法を用いることで、木質バイオマス中のさまざまな成分の物質量を正確に決定する手法(TAF(tolerant of any factors)法)を世界で初めて開発することに成功しました。これによって、木質バイオマスからバイオエネルギーや各種製品の原料を獲得する工程の確立が促進されることが期待されます。
現在発電に使用される木質バイオマスというと、「チップ」や「ペレット」といったイメージがありますが、今回の研究結果を活用することで近い将来、燃焼効率のよい液体系のバイオマス原料などが製品化されていくということなのでしょう。
(液体系のバイオマスの一例として、現在ガソリンスタンドで給油可能な「バイオガソリン」。バイオマス由来の成分は数パーセントで、まだまだ化石燃料由来の石油が主原料のようです。参照:バイオガソリンって?:JX エネルギー)
ちなみに「京都大学エネルギー理工学研究所 エネルギー構造生命科学研究分野 片平研究室」では、研究メンバー(大学院生として研究室でバイオ燃料、木質バイオマスなどを研究する方)を募集中ということです。